毒と薬

GMの顔。音楽ライターの顔。ランナーの顔。

長良川幅600

「高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソン」から

県の実地指導(監査)の準備に大量の資料を作成したのがもとでひどい肩こりになった。このことをきっかけに本格的にランニングを始めた。

GMという立場は、仕事の量というより責任の重さである。約100名の従業員と(自分の家庭も含めた)家族の生活がこの肩にかかっているかと思うと、押しつぶされそうになる。ニーチェのいう「重力の魔」とはこのことかもしれない。だから、ほんのひととき、「重力の魔」から解放されようと、私は一人走る。

GMの仕事とは別に、ほぼ毎月、音楽雑誌の『ミュージック・マガジン』と『レコード・コレクターズ』にワールド・ミュージックの原稿を書く仕事もしている。原稿依頼を受けてから〆切まで1週間ないこともざらなので、編集部から送られてくるサンプル音源を自宅でじっくり聴いている余裕はない。かつては職場に持ち込んで仕事をしながら聴いていたが、いまはiPodに取り込んで、もっぱらランニングしながら聴くことにしている。

サンプルCDの収録時間は1枚でおよそ60分。これが2枚、3枚なんてこともある。 そんなことから、平日では60分、休日だと2時間以上のランニングをこなすのが習慣になった。距離にすると1回あたり10㎞から35kmぐらい。週3、4日は走っている。

時間帯はもっぱら早朝。朝4時半〜5時に目を覚まし6時頃からスタートする。
よく走るコースは豊寿苑がある市街地から東へ約1㎞の田園地帯を南北に流れる大山川か、市街地の西方に立つ小牧山のわきを南北に流れる合瀬川に沿った土手道。見晴らしのよい場所を走っているときに日の出に出くわしたりすると、清新な気持ちになる。

いまは真夏だから早朝でも日射しが強く、そのため木立におおわれた小牧山を山頂まで何度も往復することが多い。標高86mの小牧山の傾斜は持久力を付けるトレーニングにぴったりだ。

いまのところ、10月、名古屋アドベンチャー・マラソン(フル)、11月、いびがわマラソン(フル)、12月、お伊勢さんマラソン(ハーフ)へのエントリーが決まっている。
山野を駆け巡る行者ではないが、走ることは私にとって「重力の魔」を祓い身を清めるための儀式なのだ。

2013.08.09 |