双寿会からのお知らせ

コロナ禍での新しい試み「豊寿苑地蔵盆」

5月でいったん収まったかに思えた新型コロナが、7月に入って再び感染拡大。

『豊寿苑夏祭り』はじめ、歌ったり、声を上げたり、大勢の人たちが集まるイベントが次々と中止になる中、面会が制限され刺激のない日常を送られているご利用者の皆様に少しでも喜んでいただけたらと、今年は例年とはちがうかたちで『地蔵盆』をおこないました。

豊寿苑の庭園には、天道・人道・修羅道・餓鬼道・畜生道・地獄の六道を表している「六地蔵」と、松の木の根元に合掌する一体のお地蔵さんがおられます。

豊寿苑庭園のお地蔵さま

豊寿苑庭園のお地蔵さま

『豊寿苑地蔵盆』は、毎年7月24日前後に、屋外のお地蔵さまのお召し替えをして、まわりに風車を飾り、お供え物をしています。同時に、屋内で大勢が輪になって念仏を唱えながら大きな数珠を回していく「百万遍」と呼ばれる行事をおこなっていました。大きな数珠玉を握って回すことにはリハビリの意味合いもありました。

ところが、今年は新型コロナの感染防止のため「百万遍」は中止。
屋外はこの暑さですから、限られた方しかお参りいただけません。

ならば、いっそのこと、民話の「かさ地蔵」にならってお地蔵さまの方から会いに来ていただこうと思いつきました。

六地蔵は無理でも、合掌地蔵ならキャスター付きの土台に乗せれば動かせます。ただ、そのたびごとに台車に乗せて動かすのはたいへんだから、『地蔵盆』の期間中は豊寿苑の建物内で過ごしていただくことにしました。そのための「宿泊所」として地蔵堂をドライバーの安形さんに特別に作ってもらいました。

手作りの地蔵堂。脇には「百万遍」で使う数珠

手作りの地蔵堂。脇には「百万遍」で使う数珠

地蔵堂は、1階食堂の目立つ場所に安置され、車イスで移動できる方はこちらでお参りしていただきました。

jizoubon2020 - 6

食事の前に毎回お参りされる方

ねたきりでほとんどベッド上で過ごされておられる方や、認知症のため移動範囲が制限されている方にはお地蔵さまの方からお伺いしました。

台車に乗ったお地蔵さまを曳いていくスタッフ

台車に乗ったお地蔵さまを曳いていくスタッフ

ねたきりの方には、お一人お一人のベッドを訪ねてお参りいただいたり、触っていただいたり(コロナ対策としてはいけないのですが)しました。すると、不思議なことに、普段はほとんど表情が変わらない方が柔和な顔つきに変わってきたではありませんか! お地蔵さまはすごい!

お地蔵さんを愛しそうに撫でておられたご利用者

お地蔵さんを愛しそうに撫でておられたご利用者

認知症の階を訪ねると、たちまちお地蔵さまの回りに人だかりができました。

お地蔵さんのまわりはたちまち人だかり

お地蔵さんのまわりはたちまち人だかり

みなさん、思い思いにお経を唱えたり、お地蔵さんを擦(さす)ったり撫(な)で回したり、真剣に願いをかけたりと大人気でした。

真剣にお祈りをするご利用者

真剣にお祈りをするご利用者

コロナ禍では、イベントも「神仏に頼る」しかないんでしょうか?

2020.08.28 | 歳時記