双寿会からのお知らせ

大人のための教養プログラム 〜豊寿苑『週間ニュース解説』

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増加する男性利用者

これまで、当苑のご利用者は女性が中心でした。しかし、ここに来て、とくにデイケアでは男性のご利用者が増えてきています。曜日によっては半数以上が男性というケースも出てきました。

デイサービスは「通所介護」といいますが、当苑がおこなっているデイケアは「通所リハビリテーション」といいます。男性利用者が増えたのは、おそらくリハビリ目的だからだと思います。

そのせいでしょうか、集団的なレクリエーションへの参加には消極的な男性利用者も少なくありません。

加えて、男性は総じて集団行動が苦手ということもあるでしょう。とりわけ、教養レベルが高い方には、より多くの人たちが参加してもらえることを前提とする福祉的なメニューは〝幼稚〟と映ってしまうのだと思います。

この問題をなんとかしたいと、昨年から始めたのが『週間ニュース解説』です。文字通り、1週間に起こった出来事を私が新聞記事からピックアップし解説していくコーナーです。

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加計問題を解説中

参加者の7、8割が男性

おもに扱うのは、政治、経済、国際、社会、文化、スポーツ。ワイドショー的な芸能ニュースはスタッフに任せているので、あまり取り上げません。

デイケアと入所の方々とに分けてそれぞれ週1回。デイケアは毎週木曜の午後1時30分、入所は毎週月曜の午前11時20分からおこなっています。参加者数はデイケアが毎回12〜15名ぐらい、入所は10名ぐらいでしょうか。参加者の7、8割は男性です。

事前に1週間分の新聞に目を通して、気になった記事にラインマーカーを施し、メモ紙に見出しをメモしておきます。

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おかげでラインマーカーの消費量が激増

当日は参加者のみなさんの反応やご意見で臨機応変に話題を切り換えていくことから、行程表はなくこの1枚のメモ紙のみが頼りです。

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こんなメモを頼りに話を進めます

デイケアは「ジジイ放談」?

デイケアでの様子

デイケアでの様子

デイケアに関しては、回を追うごとにファンが増えてきており、中には事前に新聞やテレビで予習してこられる方や、リハビリをそこそこで切り上げて参加してくださる方もおられ、こちらも真剣勝負です。

国内政治や世界情勢、ドラゴンズについて、みんながワイワイガヤガヤ、侃侃諤諤(かんかんがくがく)議論するサロンになってきたことをとてもうれしく感じています。

ご利用者からいつも質問が寄せられます

ご利用者からするどい質問が…

この楽しいひとときを、ブラックなユーモアを込めて「時事放談」ならぬ「ジジイ放談」と呼んでいます。

みなさんのご要望にお応えできるよう全力を尽くしますので、みなさんもドンドン頭を使って議論を交わしてください。

入所は世間の風を送るため

入所での様子

入所での様子

いっぽう、入所はこれとは雰囲気がまったく違います。全体の85%近くが要介護3以上

参加者はその中では比較的介護度が低めなのですが、それでも、私の話にたいして発言される方はまれで、ほぼ無表情のまま、相づちを打たれることさえほとんどありません。

だから、話に興味を持っていただいているのか、そもそも話をわかっていらっしゃるのか、読み取れなくて「自己満足でやっているだけじゃないか?」と自己嫌悪に陥ることもしばしばです。

しかし、たとえご本人にはよく理解できなかったとしても、私が政局やら国際情勢やらについて語り続けるのは大事なことだと思っています。

というのも、施設での生活は平穏だけれども一般社会から隔てられた閉鎖的な環境なのです。だから、こうやって日々変わり続ける世間の風を送り届けているわけです。

時間延長のため昼食の方々もゾクゾク

時間延長のため昼食の方々も続々

こうやって毎週2回、『ニュース解説』のために事前に1週間分の新聞に目を通し本番を終えたときには身も心もクタクタになってしまって、そのあと、しばらく仕事が手に付きません。

「『ニュース解説』があるから木曜のデイケアを利用している」というありがたいお言葉を耳にするに付け、どんなに忙しくても手抜きは絶対しないと心に誓った次第です。

2018.05.19 | カルチャー