双寿会からのお知らせ

新型コロナ クラスター奮闘記(2)

第2章 保健所の「濃厚接触者はいない」は当てにならない

 

新型コロナ・ウイルスという目に見えない脅威への不安から、うわさやデマはこうもたやすく広まるものかと痛感した私は、情報の透明性と可視化は生命線であると悟りました。

この時はまだ、クラスターが発生するとは夢にも思っていませんでしたが、利用者の家族、保健所、自治体、関係諸機関などに対して、早い段階から文書を基本とする情報公表に踏み切ったことで風評被害を最少に抑えられたと考えています。

以下では、看護師の感染から入所者への最初の感染が判明するまでの流れを思い出しながら書いてみます。

 

12月4日、金曜日は公休だったので看護師は別世帯を構える母親に付き添って市役所へ行きました。翌5日、土曜と、6日、日曜は日勤業務に入りました。6日は午前中から風邪っぽい感じがでしたが、日曜のため看護職員の人員が少なかったことから終業時間まで勤務しました。

週明けの7日は公休。8日、火曜になっても微熱が治まらず、念のため病欠にしました。

この日、母親が体調不良のため市内の診療所で受診したところ、新型コロナ陽性が判明。そのまま、小牧市民病院に緊急入院しました。

本人からの連絡を受けて、その日の夜、併設診療所に来てもらって抗原検査をしたところ、陽性反応が出ました。翌9日、水曜日、PCR検査でも陽性の結果が出て新型コロナの感染が確定的になりました。

9日の午前11時頃、本人から連絡が入りました。いわく、同居の家族は陰性だったので自宅療養となり、自分はホテルで10日間療養ののち、自宅で3日間過ごして、症状がなければ仕事に復帰していいと保健所から指示されているとのことでした。現在も症状は比較的軽く元気な様子でした。

その際、施設の入所者と職員に濃厚接触者はいないとの保健所の見解を聞かされ、まずはほっとしました。看護職員に陽性反応が確認された時点で併設診療所から保健所へ報告しましたが、保健所による看護職員への行動調査の結果についてはプライバシー保護の観点から、保健所から直接、施設に報告はありませんでした。

ちなみに、濃厚接触者とは、一般的に①手で触れることのできる距離で、②必要な感染予防策無しで、③感染者と15分以上の接触があった人のことをいいます。

看護職員は勤務中、ずっとマスクをしており、昼食は宿直室で一人でとっていました。しかも、土日で看護人員が手薄だったことから入所者一人あたりにかける処置時間はごく短かったと聞きました。つまり、①はあてはまるが、②と③はあてはまらない。よって、施設に濃厚接触者はいなかったというわけです。

最近になって西村康稔経済再生担当大臣が、屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいると発言して波紋を呼びました。保健所がおそらく業務の都合上、使っているに過ぎない “濃厚感染者” という言葉を信じて痛い目をみた身としては「それをもっと早く言ってよ」といいたいところです。

そういえば、加藤勝信官房長官が厚労大臣のときに「37.5度以上の発熱が4日以上」を基準ととらえるのは国民の誤解だと答弁してひんしゅくを買いましたが、同じように濃厚接触者も感染リスクの”目安”であって”基準”ととらえたのは私の”誤解”だったと答えるんでしょうね、現在の政府でしたら。

 

この続きは次回

保健所の「濃厚接触者はいない」は当てにならない
コロナ・ウイルスという目に見えない脅威への不安から、うわさやデマはこうもたやすく広まるものかと痛感した私は、情報の透明性と可視化は生命線であると悟りました。
この時はまだ、クラスターが発生するとは夢にも思っていませんでしたが、利用者の家族、保健所、自治体、関係諸機関などに対して、早い段階から文書を基本とする情報公表に踏み切ったことで風評被害を最少に抑えられたと考えています。
以下では、看護師の感染から入所者への最初の感染が判明するまでの流れを思い出しながら書いてみます。
12月4日、金曜日は公休で看護師は別世帯を構える母親に付き添って市役所へ行きました。翌5日、土曜と、6日、日曜は日勤業務に入りました。6日は午前中から風邪っぽい感じがでしたが、日曜で看護職員の人員が少なかったので終業まで勤務しました。
週明けの7日は公休。8日、火曜になっても微熱が治まらず、念のため病欠にしました。
この日、母親が体調不良のため市内の診療所で受診したところ、新型コロナ陽性が判明。そのまま、小牧市民病院に緊急入院しました。
本人からの連絡を受けて、その日の夜、併設診療所に来てもらい抗原検査をしたところ、陽性反応が出ました。翌9日、水曜日、PCR検査でも陽性の結果が出て新型コロナの感染が確定的になりました。
9日の午前11時頃、本人から連絡が入りました。いわく、同居の家族は陰性だったので自宅療養となり、自分はホテルで10日間療養ののち、自宅で3日間過ごして、症状がなければ仕事に復帰していいと保健所から指示されているとのことでした。現在も症状は比較的軽く元気な様子でした。
その際、施設の入所者と職員に濃厚接触者はいないとの保健所の見解を聞かされ、まずはほっとしました。
ちなみに、濃厚接触者とは、一般的に①手で触れることのできる距離で、②必要な感染予防策無しで、③感染者と15分以上の接触があった人のことをいいます。
看護職員は勤務中、ずっとマスクをしており、昼食は宿直室で一人でとっていました。しかも、土日で看護人員が手薄だったことから入所者一人あたりにかける処置時間はごく短かったと聞きました。つまり、①はあてはまるが、②と③はあてはまらない。よって、施設に濃厚接触者はいなかったというわけです。
最近になって西村康稔経済再生担当大臣が、屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいると発言して波紋を呼びました。保健所がおそらく業務の都合上、使っているに過ぎない “濃厚感染者” という言葉を信じて痛い目をみた身としては「それをもっと早く言ってよ」といいたいところです。
そういえば、加藤勝信官房長官が厚労大臣のときに「37.5度以上の発熱が4日以上」を基準ととらえるのは国民の誤解だと答弁してひんしゅくを買いましたが、同じように濃厚接触者も感染リスクの”目安”であって”基準”ととらえたのは私の”誤解”だったと答えるんでしょうね、現在の政府でしたら。
この続きは次回

2021.06.09 | エッセイ