双寿会からのお知らせ

新型コロナ クラスター奮闘記(3)

第3章 念のための検査で感染者発生

 

さて、看護職員の感染が確定的になった9日、水曜日に1人、翌10日に3人の入所者の咳と発熱が確認されました。4人はすぐさま個室への移動隔離措置がとられました。

最初に発熱した1人は寝たきり度の高い人たちが中心の4階の方、その他の3人は、要介護度3以下の人たちが中心の3階の方1人、認知症が重度の人たちが中心の2階の方2人という内訳。

看護師の業務は、自力での栄養摂取が困難で経管栄養が必要な人たち、豊寿苑でいうと4階入所の人たちへの処置や対応が多くをしめます。

ただ土日で看護人員が手薄だったため、その看護職員は2階と3階の人たちについても検温や簡単な処置などをおこなっていました。とはいっても、勤務時間の大半は4階にいました。

右の事情から、私たちは4階の入所者と配属職員をハイリスクとみて、そこに重点を置いた検査をおこなうことにしました。

2階と3階の熱発者については、「ほとんど接触がなかったから、たぶん大丈夫だろうけれど安心感を得るために念のため」ぐらいの気持ちで検査してもらうことにしました。

検査は、10日から11日にかけて、発熱外来を受けている併設診療所の内科医である院長がPCRと抗原検査でおこないました。

診療所に在庫がある検査キット数が限られていたことから、まずは発熱症状のある入所者4人、全国老人保健施設協会が示したマニュアルに従って、”濃厚接触者” でないが、”濃厚接触が疑われる者” として看護職員と15分以上接触した介護職員数名のPCR検査を優先しておこないました。

ちなみに、マニュアルでは、”濃厚接触者” でない場合、入所者についてはPCR検査をおこなう必要はないとあったので、それに従いました。

その際、気がかりだったのは、高齢者施設で陽性者が出た場合、保健所等の指示により、対象入所者・職員へのPCR検査を実施とあったことです。

この時の検査は、保健所の指示によらず、施設が同一法人の診療所に依頼して自主的におこなったものです。

PCR検査で保険が適用されるのは感染の疑いがあり受診が必要と医師が判断した場合のみです。したがって、症状がなく濃厚接触者ではない入所者や職員については、検査費用(1回あたり献体料18.000円、検査判断料1,500円)がかかることになり、これらがすべて施設側の負担になるのかと思うとクラクラしてきました。そんなことも言ってられない状況であることぐらい、わかってはいるのですが…。

 

この続きは次回

2021.06.09 | エッセイ