双寿会からのお知らせ

敬老会で「常普請木遣保存会」の伝統芸能を披露


紅白の棟木を抱える「常普請木遣保存会」のみなさん

紅白の棟木を抱える「常普請木遣保存会」のみなさん

9月17日、「平成28年 医療法人双寿会 敬老会」が豊寿苑1階ホールで行われました。

当日の出席者は60数名。入所者の平均年齢84.2歳の当施設にあって、満88歳で米寿を迎えられた方は老健と診療所、合わせて8人、百歳以上の方は2人おられました。

今年の敬老会には、小牧の伝統芸能「常普請木遣(じょうぶしきやり)保存会」のみなさんを初めてお招きして「木遣り唄」をご披露いただきました。

「木遣り」とは、「木を遣り廻す」の意味で、もともとは鳶職(とびしょく)が鳶口(トビのくちばしのような鉄の穂先の付いた棒)を使って木材などを動かす、つまり木材を運搬することです。

重い木材や石の運搬には多くの人の力が必要でしたから、全員が息を合わせるために一人の号令で唄ったのが始まりといわれています。つまり、木遣り唄とは労働歌(ワークソング)だったわけですね。

神社仏閣や家を建てることはおめでたいことなので、鳶職人や大工などが祝い唄として唄うようになりました。やがて上棟式や竣工式など、建築に関係する行事以外にも、祭礼や結婚式などでも唄われるようになりました。

今回、お越しいただいた「常普請木遣保存会」のみなさんは、小牧市で唯一つ残る木遣保存会です。この日は約20人でお越しいただけました。

棒振りを披露

真剣なまなざしで「棒振り」を鑑賞するお年寄りたち

赤い頭巾をかぶり、紺の羽織を着て、五色の御幣を振りながら、音頭を取る「音頭取り」の先導で、鉢巻・半纏(はんてん)・股引(ももひき)、腰に三色の手拭いと扇子を挿した大勢の男たちが、紅白の布を巻いた棟木と枕木を担ぎ、唄に合わせて、独特のゆっくりした足さばきで身体を左右に揺らしながら舞台に現れました。

音頭取りが被る赤い頭巾は

赤い頭巾、長い羽織、五色の御幣という異装は神主のヴァリエーションか?

舞台中央で枕木の上に棟木を置くと、木槌をふるって「打ち納め」の儀式を行いました。

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「打ち納め」には大地(地母神)との結婚という意味合いがありそう

このあと、房の付いた紅白棒を手に音頭取りに合わせて踊りを披露しました。記憶が不確かですが、「棒振り」と紹介されていたと思います。

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棒で地固めする意味合いもあるのかな?

所作が奴(やっこ)を思わせることから、房の付いた棒はおそらく大名行列で奴が担ぐ毛槍を模したものだと思います。

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ちょっと足元が危うい奴舞

続いては、意外なことに、駆け落ちの悲恋物語「お夏清十郎」を題材にした小唄です。

唄に合わせて、両手に日の丸扇子を持ち、骨の部分に指で挟んで広げたり重ねたりしながら、男らしく無骨に踊ります。

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「華麗さ」とは無縁の、無骨で男らしい踊り

私は扇子で祝い松を表現しているのかと思っていましたが、日本舞踊をやっている妹によると、松ならば扇の要(かなめ)を持つはずで、骨を持っていたから笠を表していたのではないかとのことでした。

つまり、扇子は、お夏と離れ離れになった清十郎のシンボルだった菅笠のことではないかというのです。

この他にも、伊勢神宮の遷宮で切り出した材木を運ぶときの木遣り唄をルーツとする、上棟式などの慶事には欠かせない祝儀唄「伊勢音頭」など、米国南部R&Bテイストの熱くて渋い朗々とした唄声をご披露いただきました。

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職人気質が全身から滲み出ています

侠気(おとこぎ)に溢れた堂々とした歌と踊りにご利用者のみなさんは終始釘付けでした。戦時中に聞いた覚えがあると感慨で目頭を熱くしておられた方もおられました。

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手拭いを肩にかけいなせに踊る。歌う姿はほとんどJB

今回の敬老会で、地元小牧の、貴重で質の高い民俗芸能を、大勢のお年寄りのみなさんにご覧いただけたことは主催者としてとてもうれしく思っております。

なによりも、ぶしつけな依頼にもかかわらず快くお引き受けいただいた舟橋会長はじめ「常普請木遣保存会」のみなさまに心からお礼申し上げます。

9月17日、「平成28年 医療法人双寿会 敬老会」が豊寿苑1階ホールで行われました。
入所者の平均年齢84.2歳の当施設にあって、満88歳で米寿を迎えられた方は老健と診療所、合わせて8人、百歳以上の方は2人おられました。
今年の敬老会には、小牧の伝統芸能「常普請木遣(じょうぶしきやり)保存会」のみなさんを初めてお招きして「木遣り唄」をご披露いただきました。
「木遣り」とは、「木を遣り廻す」の意味で、もともとは鳶職(とびしょく)が鳶口(トビのくちばしのような鉄の穂先の付いた棒)を使って木材などを動かす、つまり木材を運搬することです。
重い木材や石の運搬には多くの人の力が必要でしたから、全員が息を合わせるために一人の号令で唄ったのが始まりといわれています。つまり、木遣り唄とは労働歌(ワークソング)だったわけですね。
神社仏閣や家を建てることはおめでたいことなので、鳶職人や大工などが祝い唄として唄うようになりました。やがて上棟式や竣工式など、建築に関係する行事以外にも、祭礼や結婚式などでも唄われるようになりました。
今回、お越しいただいた「常普請木遣保存会」のみなさんは、小牧市で唯一つ残る木遣保存会です。この日は約20人でお越しいただけました。
赤い頭巾をかぶり、紺の羽織を着て、五色の御幣を振りながら、音頭を取る「音頭取り」の先導で、鉢巻・半纏(はんてん)・股引(ももひき)、腰に三色の手拭いと扇子を挿した大勢の男たちが、紅白の布を巻いた棟木と枕木を担ぎ、唄に合わせて、独特のゆっくりした足さばきで身体を左右に揺らしながら舞台に現れました。
舞台中央で枕木の上に棟木を置くと、木槌をふるって「打ち納め」の儀式を行いました。
このあと、房の付いた紅白棒を手に音頭取りに合わせて踊りを披露しました。記憶が不確かですが、「棒振り」と紹介されていたと思います。
所作が奴(やっこ)を思わせることから、房の付いた棒はおそらく大名行列で奴が担ぐ毛槍を模したものだと思います。
続いては、意外なことに、駆け落ちの悲恋物語「お夏清十郎」を題材にした小唄です。
唄に合わせて、両手に日の丸扇子を持ち、骨の部分に指で挟んで広げたり重ねたりしながら、男らしく無骨に踊ります。
私は扇子で祝い松を表現しているのかと思っていましたが、日本舞踊をやっている妹によると、松ならば扇の要(かなめ)を持つはずで、骨を持っていたから笠を表していたのではないかとのことでした。
つまり、扇子は、お夏と離れ離れになった清十郎のシンボルだった菅笠のことではないかというのです。
この他にも、伊勢神宮の遷宮で切り出した材木を運ぶときの木遣り唄をルーツとする、上棟式などの慶事には欠かせない祝儀唄「伊勢音頭」など、米国南部R&Bテイストの熱くて渋い朗々とした唄声をご披露いただきました。
侠気(おとこぎ)に溢れた堂々とした歌と踊りにご利用者のみなさんは終始釘付けでした。戦時中に聞いた覚えがあると感慨で目頭を熱くしておられた方もおられました。
今回の敬老会で、地元小牧の、貴重で質の高い民俗芸能を、大勢のお年寄りのみなさんにご覧いただけたことは主催者としてとてもうれしく思っております。
なによりも、ぶしつけな依頼にもかかわらず快くお引き受けいただいた舟橋会長はじめ「常普請木遣保存会」のみなさまに心からお礼申し上げます。

2016.09.30 | 地域交流