毒と薬

私の野菜作り:食べられることのありがたさ

8月は猛暑日続きだったことから、早朝20kmランニングを週2日程度に抑えていました。
9月になっても蒸し暑い日が続いていますが、それでも朝晩はずいぶん過ごしよくなってきたので1日おきで走っています。

昨日走ったから、今朝は「休足日」。天気予報は雨でしたが、日の出直後に外に出ると風は涼しく秋の陽気でした。

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2023.09.08 | エッセイ

「紫雲たなびく」夜明けの大山川

8月も今日で終わりというのに日中33℃真夏日の予報。

とはいえ、早朝はずいぶん過ごしやすくなってきたので1日おきぐらいのペースでランニングするようになりました。

日の出は5時20分ぐらいなので、だいたい、その1時間前に自宅をスタートしました。

星の下、大山川沿いの真っ暗な緑道を北へ30分ぐらい走ったところで、ようやくあたりが白み始めました。ちょうど5km。
ここから川筋を少しそれて、一面に広がる田んぼのなかを真っ直ぐに伸びる用水路沿いの農道を東に向けて走りました。

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見上げれば明けの明星である金星が輝き、視線を落とすと弥勒山(みろくやま)・大谷山・道樹山が稜線を赤く染め始めました。

すこし明るくなるにつれ、山々の真上の空に逆くの字型に伸びる帯雲があらわれて、世にも美しい紫色に染まっていました。

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浄土思想では、臨終の時、阿弥陀如来が紫雲(しうん)に乗ってお迎えに来られるといいます。
「紫雲たなびく」というように、これはありがたい瑞兆とされ、まさかお目にかかれるとは思ってもいませんでした。走りながら、思わず手を合わせ拝んでしまいました。

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この現象は、日の出の“赤”と空の“青”とが混じり合い、雲をスクリーンとして紫色に染めたせいだと思います。それは5時6分から5時11分のわずか5分間だけでした。

折返しの「ホタルの里」手前でキバナコスモスを撮った5時29分には、ご覧のとおり、雲は薄い朱色がかっていました。

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コロナ以前は各地で開かれるフルマラソンやウルトラマラソンの大会に出場していいタイムを出すことが喜びでしたが、現在はこのように、人も車もほとんどいない夜明け前、大山川沿いの緑道を一人っきりで自然と向き合いながら20km、約2時間かけてランニングすることがなによりもの癒やしであり喜びになりました。

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2023.08.31 | マラソン

豊寿苑に虹のアーチ

お盆をとうに過ぎたというのに、連日35℃を超える酷暑が続いています。施設内はエアコンが効いて快適ですが、一歩外に出ればうだるような暑さ。

おまけに台風7号が通過したあと、いつ天気が崩れてもおかしくないようなグズついた天候続きなので、趣味の夜明け前ランニングに出かけるのもままならない日々です。

写真は8月19日午前4時に家をスタート、大山川沿いを東へ遡り「ホタルの里」まで片道10kmを往復するいつものランニング・コースの途中で撮ったもの。
あまりの湿度の高さに指先に汗が絡みついて、布で指先の汗をふき取ってからでないとタッチ・シャッターが反応しないありさまです。

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8月23日。その日も早朝ランに出かけたところ、突然のスコールに見まわれてランニングは中止にしました。

西の空を見上げると、豊寿苑の真上に優雅で美しい虹のアーチがかかっていました。
あわててシャッターを切りましたが、二重にアーチがかかっていたもっとも美しい一瞬を撮り逃してしまいました。

いいことありそう。

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2023.08.24 | エッセイ

政府が花粉症対策に舌下免疫療法の普及を後押し

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いまや「国民病」といわれる花粉症対策に、政府がいよいよ本腰を入れる、との報道が23年4月15日『朝日新聞』朝刊に載っていました。

記事によると、花粉症に悩んでいる人の割合は、98年が19・6%だったのにたいし19年は42・5%にまでふえたとのこと。

これに伴い、花粉症を含むアレルギー性鼻炎にかかる医療費は、保険診療で年間3600億円にふくらみ、医療保険の財政を圧迫する要因の一つになっています。

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そこで岸田首相が打ち出した対策がつぎの「三つの柱」でした。

① 発生源への対策
② 飛散への対策
③ 発症への対策

①は、スギの伐採促進、国産材の需要拡大など、②は、スーパーコンピューターやAIを使った飛散予報の改善など。

なかでも目をみはったのが③です。
そこには「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)など、新しい治療法を普及するための環境整備」とありました。

首相官邸

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舌下免疫療法は、抗原(アレルゲン)を毎日少しずつ体内に取り込みながら、長い期間をかけて体質改善する「治る可能性のある唯一の治療法」です。

この治療法の普及に政府が力を入れるのは、①それだけ効果が期待できるが、②一般にはほとんど知られていない、ということでしょう。

じっさい、当院でもこの治療法が保険適応を受けた直後からおこなってきましたが、治療を受けている患者さんもさほど多くありません。

それだけ当院のPRが不足していたのと、もうひとつ、舌下免疫療法ならではの、こんな事情が関係していると思っています。

① 花粉の飛散量が減る6月頃から治療が始まる。
② 効果が出るまで長期間(通常2年目以降)を要する。
③ 毎日服用する必要がある。
④ スギ花粉症のみに有効である。

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春先はあんなに苦しんでいたのに、暖かくなって花粉が飛散しなくなったとたん、コロッと忘れちゃう。「のど元過ぎれば熱さを忘れる」というやつです。
そのくせ、次の年、花粉が飛び始めるとまた苦しむことになる。このくり返し。

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そんな「花粉症の悪夢」から抜け出したいと切実に感じておられるかたに、スギ花粉の飛散が少ない初夏こそ、舌下免疫療法を始めるチャンスです。

トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ

事前検査、治療予約はいつでもおこなっています。まずはご相談ください。
なお、ダニアレルギー性鼻炎の治療のための舌下免疫療法は、いつからでも始められます。

塚原外科・内科
電話0568−77−3175

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【余談】

上の新聞記事の少し前、おなじく『朝日新聞』朝刊で、平成7年(1995)に自民党内で結成され8年間活動した「花粉症等アレルギー症対策議員連盟」、通称「ハクション議連」が、14年ぶりに超党派で復活するとの記事が載っていました。

記事中、思わず笑ってしまったのが、かつてのハクション議連で幹事長を務めた山口俊一・衆院議院運営委員長のつぎの言葉です。

「かつては5月の大型連休が過ぎると花粉の飛散量が減り、活発な議論も行われなくなるという反省があった。今回はしっかり取り組みたい」

まったく「舌下免疫療法」とそっくり。
「舌下免疫療法」も、「ハクション議連」も、根気よく続けることが大切と感じ入った次第。

文責:GM 塚原立志

2023.04.18 | エッセイ

コロナ予防対策が介護施設の経営を圧迫している現実

令和5年2月1日の『中日新聞』朝刊第一面に、こんな見出しの記事が掲載されました。

「物価高 限界の高齢者施設」
「暖房、食材…「何一つ削れない」
「倒産など過去最悪」

ここ最近の食費や光熱費などの高騰でコストが跳ね上がっているのに、介護サービスの利用料は国が決めているため、料金に転嫁できず、苦境にあえいでいる介護施設が続出している、というものです。

当施設も例外ではありません。

たとえば、電力料金。
2022年12月分(11/1-11/30)は約348万円。前年同月102万円から一気に246万円も上がりました。
翌23年1月分(12/1-12/31)は約339万円。前年同月138万円から201万円アップ。
(表1)

(表1)

(表1)

要因は電力会社による電力料金の値上げに加えて、昨年同月に比べて使用電力量が12月分は113・7%、12月分は36%と格段に増えたことがあります。

この結果を受けて、時間帯別に使用量を調べてみました。
すると、起床時の午前6時半頃から昼食時の正午ぐらいまででもっとも高く、夕食時の午後6時を過ぎると低くなることがわかりました。それはご利用者の活動時間帯にあたり、多くは暖房使用によるものと考えられます。(グラフ1)

(グラフ1)

(グラフ1)

ではなぜ、今年度に限ってこうも使用量が多いのか?

考えられるのは、例年より気温が低いことが影響しているのではないかということです。

そこで、ここ4年間の月ごとの平均気温を調べてみました。

すると、1月分(12/1-12/31)は平均6・6度で、7〜8度台だった過去3年より低かったのですが、12月分(11/1-11/30)については平均14・6度で、去年の平均より1・6度、過去4年でもっとも平均気温が高かったことがわかりました。(表2)

(表2)

(表2)

では原因は何かと考えあぐねた結果、思い当たったのは、この夏に新型コロナのクラスターに見まわれた苦い経験から、日中は2時間ごとに10分間、施設内の空気を入れ換える作業を徹底させたことが影響しているのではないかということです。

その根拠として、例年と比べて8月以降、毎月の電力使用量が急増していることがあげられます。(表3)

(表3)

(表3)

例年ならば10月と11月は穏やかな気候が続くことから電力使用量は低くなります。今年は特段に気温が高かったり低かったりしたわけでもないのに、空気の入れ換えにより外気にさらされる頻度が増えたため、冷房も暖房も使わずに済んだ期間はほぼなかったことがデータに表れています。

前述のとおり、12月分(11月)については平均気温が14・6度なので、室内ではおそらく20度ぐらいのはずだからそれほど暖房を入れる必要はなかったのが、定期的に窓や扉を開け放ったことで、ご利用者から寒さの訴えが相次いで暖房をフル稼働することになったというわけです。(表2)

(表2)

(表2)

しかし、もしそうであるならば、1月分(12月)はより寒くなるため、使用電力がもっと上がっているはずではないかという疑念が起こります。

この点について考えていたとき、最新の2月分(1/1-1/31)の電力使用量の集計結果が出て、これを見て驚愕しました。
というのも、当該月の電力使用量は76,405kWhで前月より27%、昨年同月より14%落ちていたのです。ちなみに電力料金は約232万円で1月分より約100万円安くなりました。(表4)

(表4)

(表4)

考えられる要因の一つは、12月の職員会議や朝礼などでわたしが電力使用量と料金の資料を示したことがあげられます。

だからといって、新型コロナ予防対策を緩めるようにとか、ご利用者に寒さを我慢してもらうようにとか指示したわけではありません。
ただ、スタッフにとっても自分の家庭の電気料金が値上がりしていることから生活実感として伝わりやすく、節約意識が強く働いたと考えられます。

しかし、最大の要因は、年末年始から寒さがより強まったせいで体調を崩すご利用者が増えたことだと考えます。
すなわち、ご利用者の体調に配慮して、スタッフが意図的というよりも心情的に窓と扉を解放する頻度と時間を加減した
のだと思います。

今回の分析をしながらつくづく思ったのは、新型コロナ予防対策にしっかり取り組めば取り組むほど、使用電力量が膨れ上がり施設の経営を圧迫しているというジレンマです。

愛知県では昨年末に「社会福祉施設光熱費高騰対策支援金」として1定員あたり3万円の助成金が交付される制度が始まり、申請が通れば当施設に315万円が交付されます。
しかし、みてきたように12月分と1月分だけで、昨年の同月よりもそれぞれ246万円と201万円の計447万円も電力料金が高くなっている状況なので、1回限りの助成ではその場しのぎにしかなりません。(表1)

(表1)

(表1)

介護保険制度のなかで運営されている介護老人保健施設は、行政の規制が厳しく、自由に利用料を上げることができません。

そうこうするうちに、光熱費、食材費、医療・衛生材料などがどんどん値上がりし、加えて慢性的な人手不足から人件費も高騰。このままでは施設を経営していけません。
行政には迅速な救済措置を講じてもらえるよう心から願う次第です。

2023/02/08 塚原立志

2023.02.08 | 介護社会論

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