毒と薬

盛夏の行事〜地蔵盆と百万遍念仏

庭園に立っている「六地蔵」と「撫で地蔵」

庭園に立っている「六地蔵」と「撫で地蔵」

豊寿苑の庭園の散策路沿いには「六地蔵」「撫で地蔵」があります。豊寿苑では、毎年、お地蔵様の縁日に当たる7月24日前後に「地蔵盆」をおこないます。今年は日程の都合で7月18日でした。

豊寿苑手芸クラブのお年寄りのみなさんが縫った新しい頭巾と前垂れに着せ替えて、花とお菓子のお供え物をします。
お地蔵様の路をはさんだ対面の芝生には自家製の赤い風車をたくさん飾ります。

念仏を唱えながら大数珠を回すご利用者とスタッフ

念仏を唱えながら大数珠を回すご利用者とスタッフ

室内では、みんなで輪になって長い数珠を「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えながら順に回す「百万遍」という仏事をおこないます。これは法然上人を開祖とする浄土宗の仏事にちなんだものです。

豊寿苑にある大数珠の玉の数は、一般的な数珠玉108個の5倍の540個。これを20人で一回りさせると1万800。ということは、みんなで100回まわせば、合わせて百八万遍の念仏になる計算です。

もちろん、そんな体力はありませんから、1グループでだいたい5回りが限界です。それでも、自分のところに一番大きい「親珠」が回ってくると、大珠を掲げて願い事をされたり、直したい体の部分を大珠や房で熱心に撫でつけたりする方もおられました。

大珠を掲げて願い事をされる方

大珠を掲げて願い事をされる方

直したい体の部分を房で撫でつける方

直したい体の部分を房で撫でつける方

ちなみに、数珠玉の直径は約2センチ、親珠だと直径は約5.5センチあります。握ったり手のひらを滑らせたりすると、とても心地よくて、リハビリにもつながると思いました。

みんなで輪になって、心を無にしてひたすら念仏を唱えていれば、いつのまにか頭がクラクラしてきてトランス状態みたいになります。人びとの「孤独」が問題視されている現在、ホトケさまというメディアを通して、人や世界とつながっているという感覚を(少しですが)味わえたことはとてもよかったと思います。

2014.08.01 |