毒と薬

介護士は心霊がお好き?(その2)

看護師や介護士たちには、心霊の存在を信じているひとたちが非常に多いような気がします。
おもな理由として次の3つがあげられるでしょう。
(1)死が身近にある職業であること。
(2)女性中心の職場でがあること。
(3)病棟(療養棟)が閉鎖的なムラ型社会であること。

あるかたから豊寿苑に高さ100センチぐらいの観音様の木彫りのレリーフを寄贈いただきました。さっそく療養室のあるフロアに安置したところ、毎日、お年寄りたちが熱心にお参りしておりました。
ところが、あるスタッフが、夜勤のとき、レリーフからすすり泣きが聞こえてきたといい出したのです。うわさはまたたく間に広まって、ついに「この像があるなら夜勤はしたくない」というスタッフまで出てきました。かわいそうに観音様は撤去されるはめになりました。

心霊体験は、夜の暗く静かな療養棟にひとりきりでいるときの不安な心理のあらわれです。こうした不安感をみなおなじように抱えているので、うわさに尾ひれがついてより現実味を帯び、追体験するスタッフまで出てくるということなのでしょう。

お年寄りたちにはご迷惑をおかけしましたが、人についてのうわさ話にくらべたら、霊についてのうわさなどよっぽど人畜無害で牧歌的だと思います、女性中心の職場では。

夜間すすり泣きが聞こえたという問題の観音像。現在は1階のエレベーターのわきに安置されています。

夜間すすり泣きが聞こえたという問題の観音像。現在は1階のエレベーターのわきに安置されています。

2010.09.15 | 介護社会論